骨がないからインプラントは無理と言われた患者さんへ

「あなたは、骨が薄いからインプラントが出来ません。」 こう言われたので相談に乗ってほしいと来院する患者さんがおられます。上あごの骨の厚みがないために、インプラントを埋入することが出来ない状態になっていることが多いです。しかし、それらの多くはインプラントを入れることが可能です。実際の症例でご説明しましょう。

65歳の女性

このケースは65歳の女性です。

レントゲン写真で見ると左の上の奥歯が抜けてありません。ここにインプラントを入れることを希望していましたが他院では、骨が薄いということで断られました。よく見ると左上には上顎洞という空洞が張り出していてこのまま入れるとインプラントがその空洞に突き抜けてしまい、いれられません。こういうケースでは、2つの方法が考えられます。一つは、傾斜埋入という技術を使った方法です。もう一つは、サイナスリフト(上顎洞挙上位術)という手術を併用する方法です。それぞれに適応があるのですが、このケースでは、傾斜埋入の術式で行いました。

手術直後のレントゲン

手術直後のレントゲンです。右上の丸い白線で囲まれた部分が上顎洞です。うまい具合に底をさけて埋入出来ました。この術式のメリットは手術侵襲が非常に少なく患者さんが楽であるということです。

治療終了時のレントゲン

治療終了時のレントゲンです。下アゴにもインプラントを追加し上下でしっかり咬むことができるようになりました。

60歳の女性の傾斜埋入のケース

このケースも60歳の女性の傾斜埋入のケースです。

90%のケースではインプラントは可能

このケースでは上顎結節という奥にある骨を利用してインプラントを埋入したところです。このようにいろいろな手段によって90%のケースではインプラントは可能です。

次は傾斜埋入できないケースについてお話致しましょう。上顎洞が張り出していてなおかつ近隣に傾斜埋入するスペースがない場合です。その時はサイナスリフト(上顎洞挙上術)の適応となります。

58歳女性の症例

58歳女性の症例です。右上に上顎洞(黒い空間の部分)が張り出していて、インプラントが出来ないのでサイナスリフトを行い、骨をつくりました。

空洞を満たす新しく作られた骨

拡大してみると、白く見える部分が空洞を満たす新しく作られた骨です。これで、インプラントを埋入することが出来ます。

インプラントは埋入できました

無事インプラントは埋入できました。あとは、上に歯を乗せるだけです。

拡大

拡大するとこんな感じです。

58歳女性のケース

これは、58歳女性のケースです。やはり黒い空洞(上顎洞)が張り出していて、このままではインプラントが入れられません。

サイナスリフトと同時にインプラントを埋入

このケースでは、サイナスリフトと同時にインプラントを埋入しました。手術は1回で終わりました。このような高度な技術をもってすれば90%の症例でインプラントは可能です。ですから、あきらめないでご相談ください。