歯周病Q&A

ここでは、歯周病についてのいろいろな疑問・質問に答えます。

①Q 歯周病は必ずなりますか?

A 歯周病はかならずかかるわけではありません。かからないように予防することは十分可能です。また、かかっても初期であれば治癒させることも簡単です。信頼できる歯科医師に相談されることをお勧めいたします。

②Q 歯周病と他の病気との関連について教えてください。

A  歯肉は毛細血管に富んだ組織です。そこに巣食う歯周病菌は血流に乗って全身に運ばれるということを理解してください。それゆえ歯周病と全身疾患との関連が研究により証明されています。たとえば歯周病と関連が取りざたされているものに、呼吸器系疾患、心臓疾患、糖尿病や妊娠(早産)などがあります。

③Q 歯周病にどうしてたばこ(煙草)が悪いのですか?

たばこは、様々な有害物質を含んでいて、歯肉の免疫力を低下させ るとともに、ニコチンの作用で末梢血管が収縮し血流阻害を起こすため歯周病の治りが明らかに悪くなります。全身にもいいことは一つもないので禁煙することをお勧めします。

④Q  お酒は歯周病に悪いですか?

A  お酒が歯周病に悪いという科学的証明はありません。が、お酒を呑んで歯を磨かずに寝るのはやめましょう。

⑤Q  歯周病にかかりやすいというのはあるのでしょうか?

A  あるということは科学的に証明されています。口のなかの状態と全身状態に分けて考えます。口の状態とは、歯並び、粘膜の状態、存在する歯周病菌の種類です。全身状態とは、喫煙習慣、糖尿病、遺伝的影響などです。いろいろな条件が複雑に係わって歯周病に罹りやすくなります。

⑤Q  歯周病は遺伝しますか?

A 歯周病そのものは遺伝しません。

⑥Q  母親が歯周病だと子供にうつりますか?

A 歯周病菌は親から子にうつる可能性があります(垂直感染)。歯周病菌は自然発生するものではなく、外部からうつってしまうものです。したがって、親御さんはお口の中を清潔にすることが望まれます。

⑦Q  口呼吸は歯周病の原因になりますか?

A  はい、なります。お口の中が乾燥しやすくなるので、菌が繁殖しやすくなるためです。口臭のもとにもなります。鼻づまりなどの耳鼻科系の疾患を治療することが必要です。

⑧Q 歯周病になるとどんな症状が現れますか?

A  歯周病の進行は非常にゆっくりしています。ですから、日常の口腔内の変化には気づきにくいものです。かなり進行した状態でも自覚症状が少ないことがあるのです。多くの場合歯周病になっていることを自覚するのは歯の動揺を感じ始めてからです。歯周病の症状は、歯肉の赤味、腫れ、出血、口臭、歯肉のむづがゆさ、唾液のネバネバ感、歯が動く、歯肉の退縮などで、この変化は進行の程度によってまちまちです。

⑨Q 歯周病の人は日本にはどれくらいいるのですか?

A  歯科関連の出版物のいくつかには日本人の歯周病罹患率は35%位と記されていますが、歯周病罹患率は年齢群によって大きく異なるので、この数字は一概に正しいとは言えません。歯周病の罹患率は、18~19歳の年齢群では6%、30~44歳の年齢軍では36%、そして45歳以上では58%です。45歳以上では男性の方が女性より有病率が高くなっています。この有病率は4mm以上のポケットのある人の割合をもって示されています。この数値に『出血を認める』とか『歯石を有する』人を加えるともっと高い有病率になります。

   厚生労働省ホームページ http://www.mhlw.go.jp/

 ⑨Q 口臭が気になりますが、歯周病でしょうか?

A  歯周病の可能性はあるかもしれませんが、断定はできません。というのも口臭にはいろいろな原因が考えられるからです。臭いの強い食べ物(にんにく、ニラ)による口臭は別にして、病的な口臭は口腔の異常から来るものと全身由来のものに大別されます。他に、「自分には口臭がある」と過剰に気にする心因性の仮性口臭症もあります。全身由来の口臭は耳鼻咽喉系あるいは呼吸器系の病気によるものですが口臭全体に占める割合はわずかなものです。

口臭のほとんどの原因は歯周病あるいはお口の中の衛生状態が悪いために沈着したプラークによるものです。歯周病に由来する口臭の主な原因物質は歯周ポケット内の歯周病菌と舌表面を覆っている白色あるいは黄色の堆積物(舌苔)から発する硫化水素(腐敗卵様臭)、メチルメルカプタン(野菜腐敗臭)、ジメチルサルファイド(青海苔様磯臭さ)などの揮発性硫化物です。歯周病で口臭がする人の呼気中に含まれる揮発性硫化物の90%は硫化水素とメチルメルカプタンです。これらのことから、慢性的に口臭が気になる場合はまず歯周病を疑う必要があります。